答えは内緒!

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「朝居、ファイル寄こせ」 「や、いいよ。おまえだって持ってるだろ。っていうかよく弁当キャッチできたな」 「ああ、このくらいならな……。というかおまえ、中身食べてないのか」  片手でファイルを抱え、もう片手で弁当を横揺すりしたカイトが、困惑した表情で俺を振り向く。  食べていないどころか蓋を開けてすらいない。俺は頷いた。 「おまえがいちいちムカつくから、飯なんて食ってられなかった。作ってくれるのはありがたいんだけどさ、毎回人に持ってこさせんなよ」 「それは……すまない」 「いいよ。俺も……投げてごめん」 「朝居」  じっと見つめてくるカイトを放って、俺は資料室のスライドドアを足で開け放った。  室内の中心に設置された長机にファイルを置き、壁にズラリと並んだ書棚にファイル番号順にしまっていく。 「これってなんの資料なんだ?」 「これまでの生徒会活動を記録してある。文化祭の話し合いが今度あるから」 「ふーん」  気のない相槌を打ちつつ、次のファイルを取ろうと伸ばした俺の手を、横合いからカイトに掴まれた。  そのまま書棚に背中を押しつけるような体勢を取らされる。 「な、なに……っ?」 「片づけは俺がしておくから、おまえはこれを食ってしまえ」  動揺する俺を気にした様子もなく、カイトは弁当の包みを俺の胸元に押しつけてきた。  両手でそれを受け取り、空腹を感じていた俺はカイトの勧めに従うことにする。  折りたたまれて壁に立てかけてあったパイプ椅子を広げると、そこに腰かけて弁当を広げた。若干中身がシャッフルされていて落ち込んだ。 「それにしても、わざわざ文句を言うためだけに飯も食わずにいたのか?」  抱えたファイルをテキパキと棚の指定の場所に差し込みながら、カイトは愉しげに笑う。
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