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放課後、カイトに遊びに誘われた。
「久々にゲーセンに行かないか」
「ああ? まあ、いいけど……」
確かに久々だ。というか、カイトと会うときは大体室内だから、外でなにかするっていうのが久しぶりだ。なんて不健康な男子高校生なんだろう。
いつぞやのゲーセンまでやってきて、ガチャガチャやかましい店内を回る。
「どーする? またぬいぐるみ取る?」
「ニャンマオシリーズの最新作があるらしいから……」
こっくりと頷くカイトに連れられ、UFOキャッチャーのコーナーに向かう。
アニメのグッズやらお菓子の詰まった箱を通り過ぎ、ぬいぐるみの並んだクレーンの前までやってきた。
猫やらクマやらがひしめき合う中、見覚えのあるまん丸顔に三角耳の、猫なのかなんなのかわからないぬいぐるみを見つけた。
ニャンマオだ。今回はふりふりのドレスを着ている。
「カイト、これ?」
「違う。そっちじゃなくて、こっちのガオマオが今回の狙いだ」
「がお……?」
なんだその名前と思ってガラスの中を覗き込んでみれば、なるほど。
「パンダなのか……。パンダの名前がガオマオっていうのか……」
「可愛いな。ふわふわしてて、ピッタリTが凝ってて可愛い」
「おまえの可愛いポイントってなんか変」
まあ、ネグリジェ着た猫よりはこっちのが可愛いと思えるけど。
早速両替を済ませてきたカイトが、クレーンの前を陣取った。
ものすごい真剣な顔でガラスに張りつく姿はシュールというか……ださい。
なんかガキっぽいけど、よほど楽しみにしてたんだろう。目がキラッキラ輝いてて楽しそうなので、俺は静かに見守ることにした。
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