答えは内緒!

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「お」  ウィーン、とアームが横に縦に動き、ガオマオを掴もうとする。しかし持ち上げようとする動きで斜めになったガオマオは、ぽろりとアームの隙間から落ちていってしまった。残念。  悔しげな顔をするでもなく、再びコインを投入したカイトがアームを動かしていく。  ガオマオは少しずつ移動し、取り出し口付近まできていた。 「ああ……っ」  カイトが五回目の三百円を投入し、慣れた手つきでボタンをパチパチと押した。アームは狙っていたガオマオの隣のぬいぐるみを挟み込み、隙間からだらんと半身をずり落とす。失敗かと思わず声をあげた俺は、次の瞬間両目を見開いていた。 「えええええっ!」 「ふふん」  ずり落ちたままアームに挟まれていたぬいぐるみが、その横のガオマオを道連れにして取り出し口に落っこちてきた。  驚かずにはいられない。  いったいどんな奇跡だと興奮する俺の横で、カイトが得意気に鼻を鳴らした。 「すげえっ、すげぇ! えっ、えっ、嘘、マジで?」 「秘技、たすき掛け地獄落としだ」 「その技名はダサいけど、すごいよカイト! 二個同時とか、格好いい!」 「っ……」  はしゃいで褒め称えると、カイトの頬がぶわっとピンクに染まった。ハの字眉で景品のガオマオ二体を握り締めている。 「か、かっこいい、か……そうか」 「今のって、ぶら下がってたほうの足にガオマオが引っかかったんだよな? すげ、計算してたのかっ?」 「ああ、まあ……」  照れたようにはにかむカイトが輝いて見え、俺は興奮冷めやらぬ状態でカイトの腕を引っ張った。 「今度はあっち。あっちの取って!」 「あ……っ」  グイグイと引き寄せた弾みで、バランスを崩したカイトがぬいぐるみを取り落とした。コロンコロンと足下に転がる。
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