答えは内緒!

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「よ。それ、似合ってるぜ」 「あ、ああ。ありがとう」  渋い色合いの着流しが見事にカイトの美貌を引き立てている。同性として若干嫉妬混じりに褒めれば、カイトは素直に照れて顎を引いた。嫌味が通用しないのはいつものことだ。  しかし、本当に格好いい。普段にも増して色気が増しているような……。  まじまじカイトを観察していると、にやけ面の金泉がトンと肩をぶつけてきた。 「見つめ合っちゃってやらしいー。とうとう惚れちゃった?」 「ばっ、違う!」 「いいよお、否定しなくたって。カッコイイもんねー、今日のカイト。あとでふたりきりにしてあげるからね」 「そんなこと……っ、おい、金泉!」  耳元でお節介なことを囁いた金泉は、ケラケラと愉快そうに笑いながら、沙穗ちゃんと佐渡を連れて祭りの会場方面へ歩き出した。  遅れてそのあとを追い、カイトと共に人いきれの中へと身を投じた。  あちらこちらと押し流されそうになる体を、カイトの腕が支えてくれる。前方を行く金泉は屋台の立ち並ぶほうへと進んだ。 「りんご飴食べる人ー!」 「はーい」 「あ、ヒーローくんたこ焼きあるよ! 好きでしょ、たこ焼き!」 「シュウ、ちょっと落ち着け」 「ほら、洵一の食べたがってたキュウリの一本漬けだよ-」  三人組はわいわいと買い食いを楽しんでいる。  俺はといえば、暑さと人の多さに酔って、若干グロッキーだった。とても楽しめる状態ではない。   「大丈夫か、朝居。ラムネ飲めるか?」  いつの間に買ってきたのか、ずっと傍らにいたはずのカイトが、水滴をまとった瓶ラムネを俺に差し出してきた。  ありがとうと礼を言って受け取る。 「はあ……まさかこんなに混んでるとは思わなかった」  夏休みとはいえ平日だし、学校によってはまだ休みに入っていないところもあるというのに、どこもかしこも人まみれだ。いったいどこからこんなに湧いてきたのかとうんざりしてしまう。  よく冷えたラムネに口をつけて文句を垂れる俺に、カイトは苦笑を漏らしてそうだなと相槌を打った。 「ここの祭りは全国的にも有名だからな。特に夜の花火は毎年ニュースにも取り上げられるくらいだ。この混雑も当然だろう」 「そうなんだ。じゃあ今年もすごいのかな。ちょっと楽しみになってきた」
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