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「この移動時間の長さだけはどうにかなんねえかな」
ラークはそう言ってエレベーターの壁に寄り掛かり頭を抱えた。
ラークが今居る三十二階から三十階上の六十二階までのエレベーターは果てしなく長い。
一応このビルには階段というものがあるがソルジャーはともかく常人がその階段を使用するのは自殺行為であるために滅多な事では利用しない。
暫くするとチーンと言う音が鳴ってエレベーターが止まった。
「やれやれ・・・やっと着いたよ」
首を左右に動かし伸びをしたラークはエレベーターから出ようとした。
だが気付いたまだここは四十階、目的の階ではない。
すると一人の男がエレベーターの中に入って来た。年齢はラークよりも少し上か。
全身黒のスーツに身を包み肩ほどまでに伸びた黒髪は無造作に伸ばされている。
腰には黒いベルトで銃が一丁留められていた。
その瞳は静かと言うよりもどこか暗い雰囲気が湛えられていた。
(タークスかよいつ見てもこえーな、ついてねえぜ同じエレベーターって・・・)
ラークはそう思って肩を小さく落とし男が腰に提げている銃を見た。
タークスとはソルジャーとはまた違う神羅の諜報期間だ。
その他にもタークスは様々な事をやっている。
世界から有能な人材、ソルジャーのスカウト。
各地域の調査(何を調査しているのかあまりよくわからないのだが)
そして・・・
それはどうせ唯の噂だとラークは流した。
またタークスは戦闘能力にも長けており、その戦闘能力はソルジャーにも引けを取らない。
ラークの目の前にいる人物も相当な実力の持ち主だった。
「おっ、今度こそ着いた」
ラークは目的の階に着いたのを確認してエレベーターから降りた。
タークスの男はまだ上に行くようで降りてはこなかった。
「うへえ・・・この化学的な感じ・・・ったくここはいつきても気分が悪くなるぜ」
胸を無意識に摩ったラークは歩を進めた。
何度かここに来た事はあるがそこらじゅうに魔物のサンプルや魔物の臓器等が展示されているのだ。
これではラークでなくとも気分が悪くなるのは当然であろう。
シンはどうやら1番奥の部屋にいるらしい。
科学者からそれを聞き付けラークは歩を速めた。
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