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第五話 くぐつ人形のコンチェルト
人形とは悲しい物だ。
なんせ主人の気まぐれで壊されてしまう。
それが与えられた使命。故に人形は黙する。
それではソルジャーを六人も惨殺し、暴虐の限りを尽くして死に、人形としての命を与えられた魔物はどうなるのであろうか?
その境遇に狂喜するのか?それとも再び生を与えられた事に嘆くのか?
それは人形しか知らない。
だが人形は口を開こうともせずに黙する。
己が使命を果たすために。
「くっそ!!サンダー!!」「ブリザラ」
舌打ちをしてラークは呪文を繰り出した
小さい、だが威力の篭った雷が一筋、赤髪の女性アルシェの頭上に落ちる。
だがその雷は突如現れた氷壁に阻まれ霧散した。
「甘いわねそれでも1st?」
アルシェはそう言って指を何度か動かす。
それに連動して先程ラークに殺された魔物の腕が上がる。
死しても尚魔物の手についてる巨大な爪は健在で、死しても尚その爪は血を求めていた。
血を喰らう魔の爪がラークの体を引き裂こうと振るわれる。
それを剣で受け流したラークは隙だらけの胴に素早く走り寄り剣を振った。
魔物の脇腹を深く切り裂いたが関係無しに腕は振るわれる。
「ラーク!!くっそ・・・こいつを操ってる奴を倒さなきゃ行けないってことか、ラークこっちは一人でやるそっちを何とかしてくれ」
その腕を受け止めたのはシン。
用はあの魔物はアルシェのくぐつ人形なのだ。なので人形をいくら傷付けられてもアルシェは痛みを感じない。
これは思ったより厄介だ。これではアルシェへの攻撃が全てあの魔物によって阻まれてしまう。
だがアルシェがあの魔物を操ってる時は好機!!ラークは剣を構えてアルシェに向かって走る。
だがラークが繰り出した剣をバックステップで避けたアルシェはラークの剣を見て口を開く。
「ふ~ん、みたこと無いけどどうやらそれは装着するマテリアによって武器の形状が変化するようね」
アルシェのその言葉にラークは冷や汗をかく。
その通りだ。ラークの武器は装備するマテリアによって剣の形状が変化する。
炎のマテリアだったら炎を模した剣に、と言った具合だ。
ラークが剣を止めた一瞬に魔物はアルシェとラークの間を塞いだ。
「こんな事も出来るって知ってた?」
そういってアルシェは両掌を合わせた。
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