281人が本棚に入れています
本棚に追加
「……宗一?」
声に振り返ると、そこには少年の様な笑顔の、いつもの宗一が立っていた。
「おいおい、そんな顔して…どうしたんだ?」
「ど、どうしたって…」
まるで当然の事の様に言う宗一に、美也子は一瞬戸惑ってしまった。
「中にいたんじゃ…よかった……それより、お父様は…」
「ああ、全部終わったよ。でもな……」
「……でも?」
そこまで言うと、宗一の目は仄かに憂いを帯びた。
「でも…もう美也、おれはオマエとは一緒にいられなくなってしまった。」
「一緒に……え!?」
美也子は一瞬自分の耳を疑った。
「……約束…守れなくてすまなかったな。」
「どう言う…意味?」
「美也……あ………てる。」
「え…………?」
そう言うと、宗一は踵を返した。
「ちょっと待って!どう言う事なの……宗一ッ!宗一ぃッ!?」
(ッ…か、身体が…ッッ!?)
美也子は宗一の後を追おうとしたが、意志と身体の連動が為されず、指一本動かす事が出来ない。
「そ…そういちいいぃっ!!!」
最初のコメントを投稿しよう!