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(動いて…動いてッ!!)
美也子は遠ざかる宗一の背中に向かって、動かない腕を必死で伸ばした。
(あ…くッ!どうして…宗一ッ!お願い…待って…ッッ!!)
…何故だかは解らないが、このまま宗一の背中を見失うと、もう二度と逢えなくなるような気がした。
(お願い…動い…て…)
無理に腕を伸ばそうとすると、腕が千切れそうな激痛を伴う。
(う…動いて…く…動いて……動い……動けえぇッッ……折れたって構わない…く…ぅッ!!)
そして、気が遠くなる程の痛みの中、少しづつだが右手が動き始めた。
(そ、宗…一…!)
2メートル…
1メートル…
がっ…
そして、ついに強く宗一の身体を掴んだ!
「宗一……ッ!!」
「お目覚めですか…お嬢様?」
「……!?」
宗一ではない男の声に驚いた美也子は反射的に掴んでいた手を放した。
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