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ドアの音をさせない様に注意深くドアを開けると、当然の事ながら廊下の電気は消えている。
(電気を……)
廊下の電気は各部屋のドアのすぐ横に取り付けられているので、手が自然にその位置へと動く。
(……ッ!)
だが、指がスイッチに触れかけた瞬間、美也子は慌てて手を引いた。
…電気を点けると誰かが起きてしまう可能性がある。
特に日下部に見つかると色々と面倒なので、そのまま行く事にした。
(ピアノの部屋の隣…多少見えなくても場所は解る。)
…美也子は薄暗い廊下を壁伝いに、主人の部屋まで歩いた。
コンコンコン…
「お父様、美也子です。お…お父様…」
暫く待ってみたが、返答はない。
「お休みですか?お父さ……!」
カチャッ…
ドアノブに手を掛けると、ドアは力なく開いた。
(開いてる…。)
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