狂気ノ夜2⃣

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ドアの音をさせない様に注意深くドアを開けると、当然の事ながら廊下の電気は消えている。 (電気を……) 廊下の電気は各部屋のドアのすぐ横に取り付けられているので、手が自然にその位置へと動く。 (……ッ!) だが、指がスイッチに触れかけた瞬間、美也子は慌てて手を引いた。 …電気を点けると誰かが起きてしまう可能性がある。 特に日下部に見つかると色々と面倒なので、そのまま行く事にした。 (ピアノの部屋の隣…多少見えなくても場所は解る。) …美也子は薄暗い廊下を壁伝いに、主人の部屋まで歩いた。 コンコンコン… 「お父様、美也子です。お…お父様…」 暫く待ってみたが、返答はない。 「お休みですか?お父さ……!」 カチャッ… ドアノブに手を掛けると、ドアは力なく開いた。 (開いてる…。)
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