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(夏生さんの…せい?)
美也子は壁に耳を付け、息を殺した。
壁の向こうから2人の声が聞こえてくる…
「私があんな事を言わなければ……日下部さん…私、もう…」
「いえ、あれは仕方なかったのです……」
(あんな事…あれって?)
「日下部さんはお嬢様しか見てない…私の事なんて見てない…だから私…」
「夏生さん……」
「日下部さんが好き!だから…だからお嬢様が…宗一様と一緒にいなくなればと…」
「自分を責めないでください……旦那様に報告したのは私…」
(…どう言う事…お父様が……何があっ……)
がっ…!
「た……ッ!!」
そんな事を考えていた時、不意に背後から何者かに肩を掴まれた。
「き………ッッ!!」
美也子は喉元まで出かけた悲鳴を必死で飲み込み、振り返ると、そこには主人の顔があった。
「お、お父様…!?」
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