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「い、いつからいらしたんですか…お休みになったと…」
「……」
鍵が開いていたとはいえ、無断で部屋に入った事を怒っているのだろうか…主人は虚ろな目で美也子を見つめているだけだった。
「勝手に部屋に入ってしまい、申し訳ありません…でも、宗一さんの事でお父様に訊きたい事が…」
父親とはいえ、深夜に部屋を訪ねるのは非常識だ…美也子は素直に非礼を詫びた。
「……!」
頭を下げた時に主人の身体からは微かに石鹸の香りがした…風呂にでも入っていたのだろうか。
「ソウ……イチ……」
主人はそう呟くなり目を見開いた。
「え、えぇ……お父様、どうかされ……」
「誰にも…渡すものか……」
「え………?」
がっ!
「きゃああッ…!?」
主人は美也子が喋り終わらないうちに、無言で髪を掴むと、そのまま強く引っ張った。
「お父…ッ痛……な、何を…ッッ!!」
「美也子美也子みやこみややみやややああ…」
「お父様…いや…痛ッ……止めて…痛いッ……!!」
そして、そのまま部屋の奥まで引き擦ると、美也子の身体をベッドに投げた。
べりべりべりっ…
「ぁ…あ"ぅ……ッッ!!」
その拍子に主人の指に絡まった美也子の髪が、頭皮から引き剥がされる。
同時に美也子の頭皮に激しい痛みが走った。
「あああぁをぁうぉ…みぃやあぁこをぅぉ……」
言いながら主人は僅かに血液の付着した髪をぺろりと舐め、歪んだ笑みを浮かべると、ゆっくりと美也子に近づいていった。
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