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「日下部ぇ!何処にいるぅ…日下部ぇッ!!」
「遅れて申し訳ありません!旦那様、日下部は此処に居りま……うッ!!」
日下部はドアを開けるなり、信じられない光景に息を呑んだ。
(こ、これは…お嬢様……!)
主人の両腕には目を見開いたままで動かない半裸の美也子が抱き抱えられていた。
悲鳴から察するに、ある程度は予想出来たが、こんな美也子の姿を目にする事になるとは予想だにしてなかった。
「ま、まさか!お嬢様…まで……」
「……今、直ぐに板を用意しろ!」
主人は日下部の言葉には耳を貸そうともせず、静かにそう言った。
「板……でしょうか?」
「飛べない鳥は籠の中に…親鳥の下にいるしかない…」
「は……」
「美也子の部屋に食事を運んでおきなさい……」
言葉の意味はよく解らなかったが、主人の言葉から美也子が生きている事が伺える。
(よかった…お嬢様はまだ…)
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