281人が本棚に入れています
本棚に追加
(何を言っている…旦那様は、私を試しているのか?)
日下部は部屋に入った時から何かを忘れて、思い出せない時の様な違和感を感じていた。
(私から何か探ろうと?しかし一体何の意味が……)
「いつまでもそんな所に立ったままで…何かあったのかね?」
主人の狙いは表情からは読み取れそうもない。
「………」
一筋の汗が頬を伝い、顎から零れ落ちる。
…何より、主人から先程までの威圧感を感じない。
(私を館から離れされた間にお嬢様を…いや、違う…………そうか!もしかして…)
そして、悩んだ末…1つの仮定に辿り着いた。
同時に、美也子が部屋にいない以上に感じた違和感の正体が、推測から確信に変わりつつあった。
「旦那様…お部屋にずっといらっしゃったのですか?」
そして、日下部はそれを完全なものにする為に、主人に訊いた。
「はは、恥ずかしい話だが気付いたらソファーに座ったままいつの間にか眠ってしまっていたようだ…もう年かな。」
(やはり……か。)
最初のコメントを投稿しよう!