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「あ、ああ…解った…」
カチャッ……
「勿体付けて…一体、客間に何があると言……ッッ!!」
言いながらドアを開けると、主人の視界を一面に広がる紅が染めた。
「く、日下部…ぇお…これは…一体……なん…だ…これは…おぇ…げぼッッ!!」
主人は言い終わらないうちに、床に吐瀉物を撒き散らした。
…それは一目に宗一とは解らず、主人の目には血溜りに浮かぶ只の肉塊に映った。
「宗一様…です。経緯は存じませんが、旦那様が斧で……」
日下部は眉一つ動かさずに冷たく言い放った。
「斧……わ…私が?馬…鹿な…」
「いえ、今夜はお2人以外客間を使われておりません。」
「嘘だ…私はソファーにずっと…」
「はっきりと…その記憶がお有りですか?お嬢様の目にはつかない様にしてありますが、お着替え前の旦那様の衣類に大量の血液が付着しておりました。恐らく宗一様の返り血かと…」
主人は反射的に自らの服に目をやると、普段はシャワーを浴びた後にしか着るはずのないバスローブを纏っている。
勿論、シャワーを浴びた記憶は微塵もない…あるはずも無かった。
「理解して頂けましたか?」
「………」
その言葉に正気に返った主人は、日下部の言葉に顔を上げた。
「………私が…彼を…殺したと…ワタシガ…ソウイチクンヲ…ウソダウソダ…コロシ……」
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