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「ええ、残念ながら間違いありません……」
「……」
「旦那…様?」
返答がないので、主人の方に目をやると、腕をだらんと垂らし、目の焦点が合っていない様子だった。
「旦那様?どうされました?旦那さ……ッッ!?」
べきゃ……
「ま……ッッ!!」
次の瞬間、鈍い音と共に拳を握った主人の手の甲が日下部の鼻っ柱にめりこんだ。
「ぁ…ぐを…ッッ!?」
同時に、日下部の鼻から夥しい量の血液が吹き出し、鉄の味が喉の奥から込み上げてくる。
「おぶッ…な、何を……ッ!!」
日下部はたたらを踏んで片膝を付くと、未だ血の止まらない鼻を手で覆いながら主人を睨んだ。
「し……けて…おけ…」
主人は日下部の問いには答えずに、くぐもった声で何事かを呟いた。
「え、何………ぐッッ!!」
主人は日下部の髪を掴むと、そのまま床に叩きつけた。
「聞こえなかったのか?さっさと死体を片付けろ…庭にでも埋めて来いッ!!」
主人は抑揚のない声で叫ぶと、床に這いつくばる日下部の後頭部に足を掛けた。
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