覚メナイ悪夢1⃣

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日下部の作戦は見事に失敗に終わってしまった。 「宗一様……」 日下部は宗一の死体に向かってそう呟くと、一礼して部屋を後にした。 …暫くして再度、客間に戻ってくると、その手には自分のシャツとバスタオルがあった。 「……失礼。」 べりっ… 日下部は皮膚に貼りついていたシャツを一気に剥ぎ取ると、水分を含ませたバスタオルで宗一の身体を丹念に拭いた。 そして…宗一には少しばかり大きかったが、自分のシャツに着替えさせた。 「こんなものしか用意出来ずに申し訳ありませんが…参りましょう。」 日下部は宗一の腕を肩に掛けると、そのまま庭へと向かった。 (せめて……ロックの傍に。) そもそも自分が駆け落ちを見逃していれば、夏生や宗一は死ぬ事はなかったかもしれない… それに、美也子もあんな目には遭わなかったはず… (全部…私のせいだ……) 日下部はロックの犬小屋のある裏庭へ向かいながら、自らの行動を悔いた。 「詫びて済む事ではありませんが、お嬢様だけは命に変えても私が……」 日下部は犬小屋の傍に宗一を寝かせると、スコップに掛けた手に力を込めた。
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