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ガッ!ガンッ、ガン…ガンッッ…ガッ、ガッ!!
「……!?」
日下部が館内に戻ると、何かを激しく叩く様な衝突音が耳に飛び込んで来た。
(なんの…音…だ?)
何かと金属がぶつかり合う様な乾いた音だ。
(旦那様が何か………ま、まさか…お嬢様…ッッ!!)
日下部は嫌な予感を振り払う様に、主人の待つ美也子の部屋へと急いだ。
階段を駆け上り、角を1つ曲がれば美也子の部屋が見えてくる。
ガンッッ!ガンッッ!!
そして、美也子の部屋へ近づくに比例して、その音は次第に大きくなってきた。
(ここを曲がれば…どうか御無事…………………)
「…………え!?」
日下部は美也子の部屋の前に着くなり、目の前の信じられない光景に絶句してしまった。
…その目に映ったものは板で幾重にも打ち付けられた美也子の部屋のドアだった。
「なッ…何を……!?」
「……日下部…か。」
主人は金槌を持った手を止めると、ゆっくりと振り返り、口元を歪めた。
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