覚メナイ悪夢2⃣

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「だったら…お父様に怪しまれてしまいます。早くその板で窓を打ち付けてください。」 美也子は日下部の手に目をやり、優しく微笑んだ。 「……!」 美也子の言葉から迷いは感じられない。 「こ、これは……」 そして、日下部の心に深く穴を穿った。 「私に見られていたのでは打ちにくいでしょう。」 「は、いや…しかし…!」 美也子はそう言って日下部に背中を向けた。 「お、お嬢様……」 「怖くないと言えば嘘になる……でも、宗一が来てくれると言うなら…信じていますから。」 そう言った美也子の目には力があり、これから閉じ込められる人間のそれではなかった。 宗一が来てくれるから… 愛する人間の言葉だとは言え、そんなに簡単に信じられるものだろうか。 そして、ただそれだけの言葉で人はこんなにも強くなれるものだろうか。 自分の入り込む余地のない程に宗一と美也子は強く繋がっている… 日下部の中に僅かながら嫉妬にも似た感情が芽生えたが、それ以上に美也子に叶わぬ期待を持たせてしまった事を悔いた。
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