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「では。トランクを封印して……。」
宗は札をトランクに張る。
「封っ!!」
バチンッ!と音を立てて、トランクは閉じられた。
「さて。」
宗は餮を見下すと、手に持っていた剣を地面に刺して、指をパキパキと鳴らす。
「死なない程度に殴っても良いですか?」
……………うわあ……。俺、宗のあんな愉しそうな顔初めて見たよ。
奇遇だな。俺もだ。
薬嗣と鳥が心で会話をしていたら突然、餮が悲鳴を上げた。
「ギャアアアアアッッッッ!!う、腕がっ………腕がっっ!!」
餮の声は、今までと違い、現実世界の声だった。
「宗っっ!どれだけ目に見えない早さで殴ったんだっ?!」
「殴って無いよ。ありゃあ、煉の炎呪印だな。……………相変わらずいやらしい~。」
魂にまで浸食する呪いなんて掛けられる奴なんか、今では一握りも居まい。その一握りが夫婦なんだから怖えーよな。鳥はクックックッと笑うと宗に声を掛けた。
「おーい!宗ちゃん。俺達の仕事はここまでだ。ボコボコにするのは諦めな。そいつから離れてこっち来てちょーだい。薬嗣のお守り、バトンタッチね。」
「………わかりました。」
鳥に言われると、宗は剣を引き抜き、腰に掛けてあった鞘に収める。
「もう二度とお会いできないですね。」
それだけを言い残すと、言われた通りに薬嗣の傍らへと戻って来た。戻って来ると同時に鳥は羽ばたき、餮の頭上で留まった。
「さーてと………。馬鹿だね、お前さん。一度道摩に咎められた時に止めておけば良かったのに。」
鳥は哀れむ様に餮を眺めた。
「お前さんはアイツに取って、体の良い傀儡だったんだよ。だがね、お前さんは傀儡とはいえ、余りにも人を殺め過ぎた。その罪はとても許される物じゃない。…………道よ開け。この者を裁く神への元へ。開門。」
餮の足下に扉が浮かび、その中へ、餮を誘う。
「………やめ………。」
餮は泣きそうな顔で許しを請う。
「俺は遅いと言った筈だ。死して許しを請うて来い。閉門。」
ギギギギ………ドンッ!
重厚な音と共に、餮姿も飲み込まれて、辺りは再び静けさを取り戻した。
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