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「さ~わ~る~なっっっつってんだろうがっっ!!!この変態っ!」
「………着けてるようだな。八朔。」
桔梗は八朔の太股をペタペタと触りながら、満足そうに頷いた。
「お前が着けろって言ったんじゃねえかっっ!!何で触る必要があるんだよっっ!」
「気にするな。趣味だ。」
「趣味かよっっ!!良いから離せっっ!敵が来るんだろ!」
桔梗は残念そうに身を引くと、空を見上げた。
「…………来たようだ。青羊。」
『はい。』
桔梗が手を翳すと、蒼白い輝きと共に、柄も刃も蒼白い太刀が現れた。
「青羊………?この間と形が違う……。」
前見た時には斧のような、鎌のような形をした武器だった筈。
「あれは秋穂神が人間の魂を消滅させる時に使う武器だ。これは………。」
バンッ!!
桔梗が話しをしている途中に空に扉が浮かぶと共に、その扉から何かが落ちて噴煙をあげる。
「八朔。下がれ。」
桔梗は厳しい表情を八朔に向ける。
「…………イヤだとか言ったら怒りそうだな。」
「今回はな。………この青羊は、俺の戦闘仕様だ。裁く為ではない。殺す為の武器。………何時まで這いつくばっている?立て。」
桔梗が近づきながら声を掛けると、噴煙の中から人影が立ち上がった。
「痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいイタイイタイイタイイタイっっっ―――――――――!!!」
絶叫とも言える叫び声が辺り一帯に響き渡る。
「………煉の炎呪印か。」
その人物は既に原型はとどめていなかった。顔半分は火傷に被われ、着ている服も焼け焦げ、むき出しの身体も心臓近くまで黒い呪印に被われていた。
「痛いか?餮。」
桔梗は刃を餮の首にあてがう。
「………や…だ。いやだいやだいやだ嫌だっっ!!兄貴!兄貴!」
「薬嗣と兄弟の縁を切ったのはお前だ。………去ね。」
泣き叫ぶ餮の首に、刃が落とされた。
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