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「ええと……薬嗣様がうねうねな夢で迷子になって、宗様が迎えに行って、金様が突き落としたと言う事ですか。」
「と言う事だ月人。」
兎と月人が真剣に話しをしているのを見て、何処までも和めそうだったが、肝心な事を聞くのを忘れていたのを、思い出した。
「………でも……何で、月人君の夢に突き落とされたんだ?」
「それはな、月人が癒しの力の持ち主だからだよ。薬嗣や、他の四季神の持つ治癒の力と、少し違う。月人の力は天界で一番の『浄化力』を持っている。」
兎は何処から取り出した急須でお茶を淹れて、薬嗣と宗に渡した。
「悪い気に当てられた様だからね。馬鹿鳥なりの気遣いだろう。飲め。それも穢れを流す茶だ。」
……………飲めって……。
湯呑みを覗いた二人は、ゴクリと喉を鳴らした。
その中に入っている液体は、呪われた沼と形容できそうな、ドロリとした深緑色。
「銀様のお茶は効きますよー。この間、風月様も腹痛で倒れましたけど、このお茶で目が覚めました。」
………それは、死者をも蘇らせる味と言う事では。薬嗣が、月人の顔を見ると、ニコニコと飲むのを待っている。
俺、この笑顔に弱えーよな……。
「い、頂きますっ!!」
薬嗣は覚悟を決めて飲み干した。
「……………美味い……。」
「…………ですね。」
ふと見ると、宗もお茶を飲み干していた。
「見た目は悪いが、味は良いだろ?月人と俺のお茶で厄落としは済んだな。帰るか?」
「ちょっと待って。月人君。」
「月人で良いですよー。薬嗣様。どうしました?」
「実は……。」
薬嗣は石の欠片を取り出して、割れた理由を述べて謝った。
「謝らないでください。じゃあ、俺の石、お役に立てたんですね。薬嗣様のお役に立てれる様に渡した物ですから、気にしないでください。」
月人は欠片を受け取り、欠片に話し掛けた。
「お疲れ様でした。薬嗣様を守ってくれて有り難うデス。………お休みなさい。」
月人の手の中で、乳白色の欠片は砂になり、消えた。
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