最終章 芽吹く季節に出会えた貴石(あなた)

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 でも、一度ぐらい出てみたいなーと、ぼやいてみたら、みかんが不敵に笑う。  「ふっふっふ。今回は我が民俗学部も参加するぜっっ!」  「良いのかっっ?!でも、俺、この体質……。」  「それはクリアーしてるだろ?この食欲馬鹿と陰険狸と腹黒秘書の三人が居るから大丈夫。あぶく銭稼ぐチャンスをこの俺が見逃すか!」  ガッ!と拳を握るみかんは頼もしい。  「みかんってそんなにお金、好きだった?」  「金はあっても困らないだろうが。これだけ稼げるメンツが顔揃えているんだ。それなのに、チャンスを逃してどうする?」  「稼げるって……。まあ否定はしないけどね。頑張れよー。皆さん。」  他人事の如く、煉は優雅にコーヒーを頂いている。………甘い。煉は月草八朔と言う人間を甘くみている。  「何言ってんの?君も稼ぎ要員だよ?事務長補佐。」  煉より遥かに小さなみかんだが、この時ばかりは煉よりも大きく見えた。と言うより、仕事モードのこいつは容赦無い。俺も宗が来る前迄、図書館から借りた本を返し忘れて、何度も酷い目にあった(それでも同じ事を繰り返す俺も俺だが。)  「事務長補佐……?え、何時の間に決まったの?」  「今、此処で俺が決めたの。狸はどうするかなー。火月になったらなったらで稼げそうだけど、狸のままの方が受けは良さそうだからそのままだな。ああそうだ。高等部のあの二人も民俗学部所属にして此方に引っ張ってくるか。会長は高等部代表だから難しいかな?出来ればなー、道摩も引っ張って来たいんだけど無理かな………。食い物は俺一人で作った方が良いな。腹黒秘書君には表に出て貰う。うん。それが良い。」  ぶつぶつと何かを計算しながら呟くみかん。何の話しだ。  「あの……八朔様。文化祭の出し物は一体何を……。」  宗の言葉に、みかんが反応した。  「これだけ顔が良いのが揃っていたら、やる事は一つ。コスプレ喫茶!」  「「「「「え。」」」」」  この時、俺もみかんを甘くみていた事を知った。
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