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太陽が西に傾き、だんだん光が赤みを増していく。その赤い光を横に浴びながら、道を歩く一つの人影。
眼鏡のずれを直し再び歩く人影は、市内にある高校の制服を着た少年。おそらく下校途中なのだろう。
この少年は一年だが、某有名大学に推薦でいけるだろうと先生に期待されている、いわば優等生。
だがそんな期待は今の彼にはどうだっていい。
彼の頭には一つの事しか考えていないからだ。
(死にたい───この苦痛から逃れるためにはそれしかない。逃れたい、楽になりたい)
そう思いながら歩いていると、古ぼけた廃墟ビルが目に入り足がピタリと止まった。
「・・・・・・」
自然と足がビルの中に入っていく。
(ココデナラ死ネルカナ?)
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