衝動

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一瞬で血が下がっていくのを感じた。 あたしは,鍵を渡してない。 確認のために触れたスカートの中で カチャリと鳴ったそれは, リップクリームと 鍵。 誰か教師が気付いて閉めたのだろうか。 それとも本当はみづきは鍵を持って―…? 違う,先輩は「鍵は2つだ」と言っていた。 それに,教師が気付いたなら みづきは教室に戻ってきたはずだ。 じゃあ,なんで―――。 階段を急ぎ足で降り,教室に入る。 だれも,いなかった。 志穂の鞄が机の上にあり, みづきの鞄が机の横にかかっているだけ。 ――――職員室。 見つかったのが授業後なら,今怒られているのかもしれない。 もしそこにいなくても ごまかせるように, 今度は鞄を持って行く。
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