プロローグ

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学校なんてツマラナイ。 ここだって,家から近い事と設備の良さ, それだけ。 あたし成績悪くなかったし。 教室のドアを開けると 数人いたクラスメイトが振り返り 今だぎこちない笑顔で 「おはよう」と言う。 あたしは無言で軽く頭を下げるだけ。 窓際の自分の席に 大して中身の無いブランドの鞄を置き, 机に突っ伏す。 毎日そのまま時が過ぎるのをひたすら待っているだけ。 ふだんはお昼か放課後しか起きない。 なのに,今日に限って英語の時間に目が醒めた。 担当の徳長は, 生活指導も担っているためか 中年も終わるだろうに,なにかとうるさい。 みんな課題をやりこなすのに必死らしく, 志穂が起きたことに誰一人気付かない。 「問1……水野」
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