プロローグ

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自分が指された事に少し驚く。 「どこの問題?」 小声で隣の子に聞く。 「…っと,これ」 やはり小声でだけど,答えた彼女は笑顔だった。 化粧をしてない細い目が,どこか印象的で 黒髪に白い肌がすごく日本人らしい。 日本美人とでもいうのだろう。 「どーも ―――A…かな。」 心底悔しそうな顔をした徳長に あたしは,口の端を持ち上げて微笑む。 なにか言おうと考えているらしく,眉間の皺がいつもより深い。 徳長が口を開きかけたそのとき ちょうど良いタイミングで授業終了を告げるチャイムが鳴った。
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