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振り返り,人がいない事を確認してから
スカートのポケットに入れてある鍵を探り出す。
キィ…と鈍い音を立てて
重いとは言えないドアが開いた。
するりと身体を通して
屋上に出る。
鍵は入れ代わりの先輩がくれた。
職員室にある以外は
あたしの持つ,この鍵のみのはず。
ここが利用されることなんて
津波が来るときくらい?
もっとも,津波なんか来ないだろうけれど。
ここは,あたしの場所。
あたししか知らない。
青空の下,薄汚れたグレーのコンクリートに座って
冷食だらけの弁当をひろげる。
いただきます。
両手を合わせ,目をつぶって
心の中で呟く。
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