第1話

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その時、 ――ガラガラガラッ――…… 音をたてて、教室のドアがあいた。 先生が来たのかと思って、ちらりとその方向に視線をずらす。 しかし入ってきたのは数人の生徒だけだった。 だけど、 『――あっ…』 私は思わず声をあげてしまった。 「どうかした?」 『――あっ、ああ……別にたいしたことないよ。いやー、先生が来たかと思って反応しちゃっただけ』 そう言って、私はへらりと作り笑いをした。 文貴くんは「あーね」と納得したようで、私は少しほっとする。 ――たいしたことない…。それは嘘だ。 先程入ってきた数人の生徒。 その中に……偶然にも私のよく知った顔を見つけたのだ。 久しぶりの再開。 だけど、正直私は…彼に会いたくなかった。  
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