何が為の贖罪

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「痛み」 これは何のための痛みだ 自分を忘れないための痛みか 己が苦しむための痛みか 痛い 思い出すたび痛い 痛さが痛さをよぶ 痛みの連鎖が 頭を刻む 痛む 分かち合うこともなく 痛みを抱え込むのはなぜか なぜ捨てられない 捨てようとしない 痛みを抱えたまま生きるのと 痛みを置き去りにして生きるのでは どこに違いがあるというのか 死ねば土くれ 生きるために痛みが必要なのか 生きること自体が痛みなのか 問い掛けはいつも内に向かい こだまを響かせることで気を紛らす 痛みとは証? 痛みとは印? 何のための 気を紛らわせば 偽善と嘲笑われ 前をむこうとすれば 卑怯と罵られる うざったい反問と反芻は 超音波のように 串刺しの身体へと 痛みを震わせる 痛みとは剥奪 痛みとは同列 痛みとは英断 決して争えないもの 痛みこそ あらがえぬ悲劇への賛美歌
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