哀れと痛みと残酷と

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「豚小屋のYES/NO」 家畜の豚がワカメを食ってどうする 君はこの言葉をきいた時とんな顔をするのだろうか あからさまな侮蔑の表情で俺をみるのだろう いや、この言葉だけでは俺の真意が君に伝わらない可能性もある もっと君が分かりやすくなるように、俺は別の言葉でもう一度表現しよう 家畜の豚がダイエットをしてどうする どうだい、今度こそ、俺の言いたいことが伝わっただろう つまりは、豚は豚という家畜に生まれた以上 肥え太って食われることのみを考えていればいいのだ いわばスタイルを気にしたり趣味に興じたり将来を夢見たりする豚は三流で 超一流の豚はきっと何も考えずにひたすら与えられた餌を食べ続けるやつなのだ ほら、俺の話をきくにつれて、君の表情がだんだんと険しくなっていくのが解る 君はきっと今頭の中で、俺の言葉に対する反論の弁をあれこれ考えているのだろう いい、いい、君の言いたいことは、全て解っているのだよ 世間の良識に基づいた君の意見などききたくもないよ もうお互いに認めようじゃないか 一流だろうが三流だろうがしょせん豚は豚 俺も豚、君も豚だ 家畜小屋の豚がブーブー鳴いたところでなんともなりはしないよ せいぜい、死後のことでも考えながら餌をむさぼろうじゃないか
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