哀れと痛みと残酷と

8/8

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「とめどなく流れるその時に」 金切り雀が 麻袋に詰められた 携帯電話のように ないている 夜の四十万に 屈みこんでいる 老いた人間は 酸性の涙で頬をぬらし 緑の茶釜に染みを作る 蝶や 塗布 シャツを着込んだ私 ブーツの踵を星で彩り 戯言は手術台の上で メスに怯えた 家事は家の屋根だけを燃やし 消火器は家の床だけを浸した ガンジスの夕暮れに 人形は沈む 金属 チーズのかおり 沸騰していく空 ビニールテープに 巻かれた翼 その中にクラゲ 倒壊する甲羅と 支えようとするワラ 凍える窒素 吐息こそ震えず 唇 バラック 瓦礫の山のなかから 与えられる配給 鰻の寝床に 鰻はいない 足首同士を結んで 二人三脚 冗談じゃない ミシン針によって 夜と盗賊は縫われる ひねた感性を 焼けた石につっこんで 鉄床で叩く ナマコはきっとモグラににている 左手にゴミ袋を二つ下げて まばらな雨の中 捨てに行く 置くとゴミ袋のなかで ガラスのビンが音を立てて割れた 横の用水路に頭を突っ込んだ 民衆に奉仕する心 生姜の味 発火の匂い 墓地の傍 反抗的に闇は踊る 喘息の虫ども 白痴の一歩手前 夢を三田 時折 膝を気にした 十二歳の子供 もうこれ以上は
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加