13人が本棚に入れています
本棚に追加
出会い
学校帰りのとある道の曲がり角…走っていると、ドンッ、と誰かにぶつかった…。
「きゃっ!?」
「わっ!?」
声からして女の人だと思う…俺達は2人で尻餅をついていた。
「だ、大丈夫!?」
女の人は立ち上がると、こっちに向かって来た…。
(…………綺麗な人だなぁ……)
俺はその女の人を見てそう思った…まるで人では無いかの様なとても綺麗な人…この世のモノとは思えない程…。
「立てる?」
女の人は微笑み掛けながら訊いて来た…笑うともっと綺麗だ…。
「…………へっ? あっ! はいっ!! 大丈夫…ぃったたた…」
少しの間…見惚れていた…はっと我に返り、返事をしながら立ち上がったが、地面にぶつけた部分が痛んで、ついつい口に出てしまった…。
「大丈夫? 怪我は無い?」
女の人はそう言って心配しつつ、クスッと笑った。
「あ、あのっ! その…ぶつかって済みませんでした!!」
少し赤くなりながら謝罪した…いつもの俺らしくも無い口調だ…。
「良いのよ、気にしないで、でも今度からは気を付けるのよ?」
女の人は微笑みながらそう注意し…。
「それじゃあ、私は行くわね、気を付けて帰るのよ」
俺の来た道を歩いて行った…すると、向こうから友達が走って来た。
「お前…早ぇよ…」
「ちょっとは…こっちを見ろよ…」
2人同時に別々の文句を言って来た…。
「まったく…体力と脚力はスゲェんだから…ん? お前、その土埃どうした?」
やっと気付いたらしい…。
「いやぁ、女の人とぶつかっちまってな…さっきお前らとすれ違った人だよ」
そう説明すると、2人は顔を合わせて首を捻り…。
「女の人って…誰だ?」
真剣にそう訊いて来た……小学五年生、夏の話だ…。
最初のコメントを投稿しよう!