紫 の 花 

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2 ぞろぞろと列の最後の人が通り過ぎる。 その後ろに、私は何を思ったのかさりげなくついていってしまった。 誰も咎めない、というか私の存在にすら気づいていない。 少し虚しく感じる。 思い切った行動に出たものだ。 ついていくうちに段々と不安になってきた。 しかし、私はどうしても紫の花の行く末が知りたかった。 通り過ぎていく風景は無音だった。 その風景の中では、思わず息を詰めなければいけないような気がした。 どんよりと重くなっていく空気が首を絞めてきて更に苦しい。 人気のない、山の近くまで来た。 見たことがないところだ。 きょろきょろと辺りを見回していると、列が段々と乱れて一点に向かって集まっていった。 どうやら、ここで火葬するらしい。
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