よろず屋

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まだ寒さも残る三月。 俺は今見馴れた階段を上っている。 流石に何年も上り下りしていると愛着が湧いてくる。 左手に持っているコンビニ袋には我が雇い主に頼まれた食べ物やらが詰まっている。 ようはパシリだ。 抵抗はするにはするが目の前でお金をちらつかされると抵抗する気が無くなってくるものだ。 悲しきかな我がヒモ人生。 すまない、自己紹介がまだだった。 俺の名前は風間 太郎(かざま たろう) 仲間内からはフウタと呼ばれている。 歳は16歳、高校二年生だ。 実家から離れて只今一人暮らしを満喫中だ。 自己紹介はここらへんにしておこう。目的の場所に着いたから。 俺が立っている前にはよろず屋と書かれた看板が無造作にかけられている扉がある。 俺はその扉を勢いよく開けた。
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