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…吐息が触れた手が暖かい。
彼は生きている。
彼の組織や細胞が酸素を取り入れて、酸化還元反応を行っている。手に触れるのはガス交換が行われたCO2、二酸化炭素
それは生きている証拠。
ただの機械的な運動がこれほどまで生に近いとは、思えば滑稽な話だ。
「…何?竜崎…」
覚醒したものの面倒臭そうに半目を開けた月の表情はやけに無防備で。
「薬を探しているんですが、見付からないんです。どうすれば良いのか分かりません」
紙に書かれた台詞に抑揚はない。
重大でもなさそうな言い方に少々うんざりしつつも、こんなことを言い出すのは竜崎には珍し過ぎる。
「風邪でも引いたか?因みに何の薬だよ」
たいていの物ならば、ワタリに言えば手に入る。
それにホテルのフロントには常備薬くらいならば置いてあるだろうに。
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