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本来、桜木家とは地上の中心都市で総合病院を経営し、各地方に病院展開並びに医薬品の研究開発をしている企業だ。
世間的には財閥の鳳家を勝るとも言われてる。
しかし、財力も社会的地位もある桜木家の内部は恐ろしくドロドロとしていて、外部には出ない死体が沢山あるのだ。
その中の一角として、当主の愛人問題がある。
現在、当主には3人の愛人が居て、それぞれに桜木本邸とは別に一つだが立派な別邸が与えられていた。
第一夫人の玉芙蓉[タマフヨウ]、
第二夫人の羅刹女[ラセツニョ]、
第三夫人の紅涙[コウルイ]、
3人の夫人たちには均一に富が与えられているが、男児を授かれば話しは別で正妻になれると躍起になっていたのだった。
まぁ、躍起になってたのは第一夫人の玉芙蓉様だけだったけれど。
話しを戻して、何故別邸に引き籠もっている羅刹女様の御子息(?)が本邸にいるのだろう。
そして、なんで1人でさっきから俺をガン見してるのだろう…。
嗚呼、気まずい。
「…ぶじゅつのおけいこ、きらいなの。」
突然、鈴を転がすような幼い声が言った。
驚き子供の方を見れば、俺のことをガン見していた子供と目が合う。
大きな大きな濃紫色の瞳が弧を作った。
可愛い笑顔に一瞬で俺は引き込まれた。
子供は嫌いじゃないかもしれない。
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