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涙目になり自分に攻撃してきた子供を下から睨み付ければ、短い腕を組み、両頬をプクッと膨らませている姿が目に入った。
やばい、可愛い…。
「ちびっこじゃないもん!ちびっこって、いっちゃダメなんだよぉ!!」
プクッと膨らんだ両頬はそのまま、勢い良くまくし立てれば「ふんっ!!」っと鼻を鳴らした。
この小さい生物をどう取り扱えば良いのか、正直わからなくなりつつある。
とりあえず、いつまでも地面に寝てるわけにもいかず、立ち上がれば自分の鳩尾を蹴り上げた子供を一瞥した。
濃紫色の瞳が身構えるように、立ち上がった俺を見つめる。
「…悪かったな。ちびっ子とか言って。」
なるべく恐怖心を植え付けない配慮をしつつ、謝罪の言葉を紡げば、先程まで子供のしがみついていた麻袋を再び引きずり歩き出す。
身構えていた瞳が今度は少し驚いたように見開いた。
表情がコロコロと変わる子供だと思う。
「ねぇ、まってよ!まーつーのっ!!」
置いてけぼりをくらい諦めたかと思っていた矢先、進行方向に飛び出し通せんぼをするようにする子供を訝しげに見る。
「…なに?」
両腕を目一杯広げ、真剣な表情で見上げてくる子供。
「…あのねっ!あのっ、かあさまが“ちょこちっぷくっきー”やいたから、おともだちつれてきなさい。って…。」
震える唇から出た言葉に今度は俺が驚かされた。
(…いつから、俺はこの子と“ともだち”になってたのだろう?)
内心、そんなことを思うもその真剣な表情に負けた俺がいて。
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