…チョコチップクッキーとホットミルク…

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「まぁ、まぁ。これは、これは…。坊ちゃんったら。」 本邸の庭先で子供を背負い立ち往生している俺の所に、背の低い老婆が近付いてきた。 確か、本邸のメイド長の…誰だっただろう。 ヨイショッと小さく声を漏らし、ずり落ち掛けていた子供を背負い直し近付いてくるメイド長に向かい。 「えーっと…この子、何処の子か存じ上げませんか?」 拙い敬語を駆使し、尋ねてみればコツンっと弁慶の泣き所を蹴られる。 「イテッ」と小さく声を上げれば、何故蹴られればならないっと抗議するように見るも、老いてるとはいえメイド長の眼力には負けてしまう。 「執事を目指すのならば、仕えている御家の関係者を把握すること。その方は、桜木龍一[サクラギライチ]様。何れこの桜木の御家を継ぐ方よ。」 …へぇ。この子って桜木の跡取りだったんだー。 「えぇっ?!あれっ?!この子が桜木を継ぐ?!この子、女の子じゃなかったんですかっ?!!!」 メイド長の言葉に驚きを隠せず、メイド長と背中で心地良さそうに眠る子供のことを交互に見る。 どう見ても、嫡男には見えない…。だって、まんま女の子じゃねぇかよ…。 人間を外見で見てはいけないと心底思った18の春。
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