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昼休みを迎え、ニヤはお弁当を広げた。
ニヤの学校には学食や売店が完備されているが、玲が毎日お弁当を作ってくれるため、玲が旅に出かけている時以外は、教室の自分の席で昼食をとるのがニヤの常だった。
わざわざ、友達の席に行くのも煩わしく一人で食べていると。
「うまそだな、いっこくれよ」
横から伸びた手が持ち主の了承も得ずにヒョイと唐揚げをつまみ上げる。
「超うめー」
それを口に放りこんで、ニヤの悪友岩城が感動した様子でいう。
「お前さ、人の好物を軽々しく食うなよ」
突然の唐揚げ略奪に岩城を睨んだニヤの視線は、けれどすぐに岩城本人からその手に持たれた袋にうつされて。
「なんだ、欲しいんか?」
ニヤの視線に気がついた岩城は尋ねると、その袋から幾つかの包みを取り出した。
机の上に並べられた、それは全てコンビニなどで見かける菓子パンで。
「お前の昼飯? 体にわりーぜ? んなもんばっか食ってたら」
「しょーがねーべ。 弁当、二限目にくっちゃってもうねーし」
思わず眉をひそめたニヤに岩城はぶっきらぼうにいうと、ニヤの前の席に勝手に腰をおろした。
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