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「別にノロケてねーよ。 ただ心配だろ? 朝飯も昼飯もくってねーみたいだし」
「お前は心配じゃないのかよ」と睨むニヤに。
「何が悲しくてフラれた原因の男の心配をせにゃならん」
岩城がふてくされたように愚痴る。
今ではすっかり元の関係に戻っているが、ニヤは岩城と以前、いわゆる恋人同士というものになったことがあった。
付き合っていたのは一週間たらずで、すぐにわかれたが、その原因の一端は確かに玲にもあり、岩城の愚痴ももっともだった。
「テメーに甲斐性がなかったせいだろ」
ぼそりと呟いたニヤに「お前、本気で殴り倒すぞ」岩城は顔をひきつらせると、ふっと溜め息つき二つ目のパンの袋をあけた。
「んでもよ、朝昼くわないだけで夜は食うんだろ?」
「食うつっても、昨日はこんな薄いバケット一枚に、サラダだけだし」
「後、ワイン」ニヤが言いながら指で二センチほどの隙間を作って「なんだよバケットって?」岩城が顔しかめる。
ニヤは食べ終わった弁当箱を片付けると、昨日以前の玲の食事に思いを巡らす。
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