ご飯を食べよう

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家に帰り、いつもならアトリエでダラダラと時間を過ごすのだが、ニヤは買ってきたスーパーの袋を手に一直線にキッチンへと向かった。 ひとまず袋から食材を出して机に並べて忘れ物がないか確認する。 玉ねぎに人参、それからジャガイモ。 牛肉とルー。 ニヤは不器用だが馬鹿ではない、「~の香草焼き プロヴァンス風」だの「魚介のスープ ~をあしらって」だのそんなレストランで出されているような素晴らしい料理を作れぬことなど、百も承知だ。 カレーならばルーである程度ごまかしがきくし、失敗する可能性も極めて低い。 そのはずだった。 「なんでだ」 ニヤは出来上がった鍋の前でうなだれていた。 二時間と少しかけて出来上がったカレーはなんだか奇妙な味でちっとも美味しくない。 食べれないこともないのだが……それは、本当に「たべれないこともない味」というレベルで。 なぜ市販のルーを使ってこんな味に仕上がるのだろうか? 作った本人にすらわからない。
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