707人が本棚に入れています
本棚に追加
/925ページ
可愛い彼女が作ったものなら、美味しくても不味くてもどちらでも良いと岩城は言っていたが。
よしんば可愛い彼女がコレを持ってきたのだとしても、ニヤが彼氏ならば迷わず叩き返すだろう。
ましてや。
ニヤはキッチンのガラス戸に映った姿を見て「そもそも、可愛い彼女じゃねーだろ」呟くとため息を一つこぼし鍋を持ち上げた。
捨ててしまおう。 ニヤがシンクに鍋を傾けたとき。
「おかえりニヤ。 気がつかなかったよ帰ってたんだね」
不意にリビングの方から声がして、驚いて顔をあげると、カウンター越しに玲がたっていた。
「た……だいま」
ぎこちなく言ったニヤに「今帰ってきたの?」玲が尋ねてくる。
ニヤは思わず頷いたが、キッチンの惨状を見て「というわけじゃなさそうだね」と玲が付け足したのを聞いて、苦笑いを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!