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「やっぱ、不味いんじゃん」
ニヤは俯くとスプーンを投げ出した。
カレーを失敗したことよりも、せっかくかけてくれた優しい言葉にトゲトゲしいことしか言えない自分が何よりも情けなかった。
そして、そんなニヤに嫌な顔一つせず楽しそうにカレーを食べてくれている玲に申し訳がなくて。
「お前、無理してくうなよ? ニヤ、なんか買って来るからさ、それはもう捨てようぜ、な?」
そう言って皿を下げよう伸ばしたニヤの手を、玲の手がやんわりと制止する。
「そう言う意味のゴメンじゃないよ」
玲はいうと、またカレーを掬って口に入れる。
目を瞑ってそれを味わった後。
「僕があまり食べないから心配してくれたんだよね?」
唐突に尋ねられてニヤは慌ててコクリと頷いた。
「だから、そのごめん、心配かけてごめんねのゴメン。 このカレーはとっても美味しいよ、優しい味がする」
玲はもう一度ほほえむと、ゆっくりとカレーを口に入れていく。
その表情は本当に美味しそうで。
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