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「でもさ」
山岸は甘ったるい匂いのする香料入りの珈琲を前に嬉しそうに笑った。
「品行方正だと言われて、万事において完璧だった彼にこんな欠点があったとはね」
「欠点?」
「わからないのかよ」山岸はニヤをあざ笑うと、珈琲を一口くちに含んだ。
珈琲を飲むだけなのにぬちゃりと嫌な音がして。 ニヤはおもわず眉をひそめる。
「考えてもみろよ。 今を時めく新進気鋭の画家……それが、ロリペド野郎だったなんてさ。 君、わかるか? めちゃくちゃセンセーショナルだぜ?」
山岸は言って。
鞄からいくつもの写真を取り出した。
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