苦手

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ニヤはマンションへと続く緩やか坂道を上っていた。 前を歩く玲は気の毒なくらいヘロヘロな青いセーターを着てくれていて、ニヤは思わず申し訳なく思う。 ニヤは手先がさほど器用ではない……はっきりと言ってしまえばかなり不器用だった。 玲と過ごす三度目の冬、ニヤは受験もそっちのけでせっせと毛糸と格闘した。 教えてくれたのがニヤが編み物を送りたい相手、その人だというのだから、泣きたくなる。 玲はなんだってソツなくこなす、日々の雑事は勿論、スポーツやゲーム、こういった編み物や縫い物に致まで。 ニヤは玲が苦手だと言うものを見たことがなかった。
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