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翌朝、百合は早めに目覚め、洗面台へ立っていた。
いつもよりほんの少し早いだけなのにまだ色のない景色に、静かで冷たい世界が広がっている。
栗色の毛をゆる巻きにセットし、いつもより念入りに化粧をする。
始まりを何回繰り返しても、この最初の“ドキドキ感”ってたまらない。
亮太とはあいさつ程度で、まともに話した事はない。人見知りの百合はこの先やっていけるかという不安もある。
昨日だって・・・
送ってもらったのは良いが、亮太の提供してくれる話題を広げる事もできず、何度も途切れさせてしまった。
それを気にしている素振りでも見せられたらかわいいのだけれど、そんな事、絶対にできない。
つまらない女だと思われるくらいなら、こっちがつまらなそうにする。百合はそういった性格なのだ。
終始ツンっとした態度で昨日は笑顔を見せる事はなかった。
これでちゃんと“駆け引き”ができれば小悪魔になれるのかもしれない。
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