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めずらしく東京に雪が降る。
(寒い訳だよな…。)
コートのポケットに手を突っ込み、ハァッと息を吐いてみた。
真っ白な息はしばらくゆらゆらと宙を舞う。
歌舞伎町のネオンに照らされ、雪はゆっくりとアスファルトに降り注いだ。
(さくら、見える?)
俺は心の中のさくらに話しかけるのが癖のようになっていた。
俺達は本当の意味で一心同体なんだ。
俺の瞳に映る美しいものは、全部さくらにも見えているはず。
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