さくらの季節

20/20
前へ
/665ページ
次へ
久しぶりに涙が一滴だけ零れ落ちた。 (ヤベ…。) 通行人に気付かれないようにシャツの袖で涙を拭い、もう一度桜の木を見上げる。 (これからは、毎日ここ通らなきゃな。) 満開まで咲き誇って、いつか散るまで…俺は見届けるよ。 いつか家でも建てる日がきたら、庭には絶対桜の木を植えよう。 またひとつ目的ができた。 (ありがとう。) 後悔しないように、これからも精一杯頑張るよ。 俺は今日も、歌舞伎町で生きている―…。           完
/665ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15032人が本棚に入れています
本棚に追加