第十章 違和感

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         ◆    ルミちゃんから、メールを貰った。なんかマイが、店で倒れたらしい。状況は分からないが、タクシーを呼び店へと急いだ。  倒れたって、どういう事だよ?  時間が時間だけに、救急車でも呼ばないと、医師に見せるのは難しいだろ。 「大丈夫なのかな?」  タクシー内でルミちゃんに電話をし、状況を確認する。 『ルミちゃん、マイは大丈夫なの。倒れたってどういうこと?』 『店の事で色々あって、気を失ったみたいなんだけど今は意識が戻ったよ』  声の感じで、心配は無さそうと判断。  それでも、気を失うって余程の事だ。完全に、安心は出来なかった。  駅前でタクシーを降り、最短の道で店へ行き階段を駆け上がった。 「ち……マイ大丈夫か?」  店内に飛び込むように入り、ちひろの姿を探すと待機席で休んでいるちひろがいた。  顔色も悪くないし、これで安心できた。 「どうしたんだ? 気を失うような事って、何があったんだよ?」 「それは、私からご説明させて戴きます」  マネージャー氏が申し訳無さそうに、奥から出てきた。  ちひろからも聞いていたが、引き抜きが予想以上に激しいらしい。  一度に7人、しかも人気上位の女の子で、更にはちひろ達の派閥の女の子も一人入っている。 「マイさんは、店のナンバー1として派閥のリーダー格として、ショックを受けたのだと思います」  ちひろより、マネージャー氏の方が憔悴して見える。  そのくらい、申し訳無さそうにしてる。 「ちひろ、帰ろうか?」 「うん、直樹ごめんね……」  ルミちゃんに手伝ってもらって、店を何とか出る。  マネージャー氏が気を使い、店の送迎車を出してくれてアパートの前まで送ってくれた。 「ルミ、悪いんだけど今晩一緒にいてくれない? 出来れば直樹も……」 「うん、こんなマイほっとけない。直くんはどうする?」 「分かった、オレも残るよ」    
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