その二

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それからの日々、仕事をしながらも彼女事が頭から離れない。 ベッドに横たわる姿が目の前にちらついて仕方がない! 「今頃、どうしてるかなぁ?」 「仕事したいだろうな」 そんな日が続いたある日、ひとつの広告が目に留まった。 (あなたも、癒しの旅にでかけませんか?) ある旅行社のツアー募集の広告だった。 (四国遍路…) 以前より旅は好きだったし、仏教にも、お寺にも興味を持っていた。 私は、迷わず旅行社に電話をしツアー参加の申し込みをしたのだった。 彼女を助けたい!もちろん、お参りをしたからと言って彼女がよくなるとは思っていない。が… 私の彼女への気持ちだった。たびに出る前に彼女に会いに行こう! 二度目の病院。部屋を訪ねると、相変わらず彼女は抗がん剤の点滴を受けていた。 『これをすると、後が辛いのよねぇ~』 本当に辛そうだった。 『もう、来なくていいって言ったのに~』 この後、もう彼女は言葉を発っしなかった。 彼女は私がいる事は忘れて、眠っている。 「今まで、全速力で頑張ってきたから、ゆっくりするといいよ。時間がきたらそっと帰るから…」
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